個人事業主が人を雇う時に必要な手続きとは?分かりやすく解説!

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こんにちは。飲食店を開業して経営しているジュエルと言います

お店を開業すると、人を雇うケースが多いと思いますが

結構めんどくさい手続きが多く、「人を雇うのも大変だな~」と実感することになります

今まで、雇われる身だったので「そんな苦労があったんだ~」

と、雇う側になって初めて知ったことも多いです

実際に、どのような手続きが必要なのか?

確認しておきましょう!

では、始めて行きましょう

人を雇う場合、労働条件の通知は必須!!

事業主は、人を雇う場合には労働基準法により

賃金や労働時間などの労働条件を通知しなければなりません

労働基準法では、「労働契約の締結の際し」と規定されているため

採用を決める際に明示することになります

書式に決まりはありませんが、厚生労働省が公開している

「労働条件通知書」を使用すれば漏れも防止でき安心です!

厚生労働省:労働条件通知書ダウンロード

記入項目は

  • 契約期間
  • 就業の場所
  • 従事すべき業務の内容
  • 始業、終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定労働時間外労働の有無に関する事項
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金
  • 退職に関する事項

契約期間

正社員などは、期間の制限無しとなります

契約従業員などのは、契約期間を明示し、更新の有無や基準などを記入します

就業の場所

労働場所を記入します

多店舗の勤務がある場合などは、可能性のある場所を記入して置きましょう

従事すべき業務の内容

実際の労働業務内容を記入します

営業業務、経理業務などで問題ありません

始業、終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定労働時間外労働の有無に関する事項

始業・終業の時刻を記入します

決まった時間内ではなくシフト制などの場合は、基本的な時間を記入した上で

「明細な時間は、シフト表による」などのルールを記載しておくと良いでしょう

労働基準法では、労働時間によって与える休憩時間が違います

  • 6時間~8時間以下 45分
  • 8時間以上 60分

最低時間なので、多い分には問題ありません!

24時間稼動する店舗や工場などで

2組に分けて交代で、業務を行う場合などのことでシフトパターンなどを記入します

所定労働時間外の労働があるのかどうか?

可能性があるのならば、その旨も記入して置きましょう

曜日で表示するなど、従業員が月何日間の休みがあるのか?

解かり易く記載するようにしましょう

休暇とは、年次有給休暇や会社が定めた特別休暇(慶弔休暇など)などを指します

正社員などのフルタイムの場合

雇用してから6ヶ月継続勤務したら、最低10日は付与する必要があります

パートタイマーなどの場合

労働日数が週4日以下、かつ労働時間が週30時間未満の従業員には

労働基準法で定められている「比例付与」にて付与することになります

「比例付与」は、労働時間の変動で付与日数も変動してしまうので

「労動基準法の定められている比例付与による」などの記載でも良いでしょう

月給・日給・時給などの形態で賃金の記載をします

基本給以外の手当などがある場合は

正確に記載して置きましょう(最初の給料明細に記載する内容になる)

みなし残業として固定残業代を支給する場合は

金額以外にも、何時間分に相当するなども記載していきましょう

労働基準法では「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」をさせた際に

通常の賃金よりも、割増の金額を支払うように定められています

割増賃金が発生する条件最低限の割増率
時間外労働1日8時間・週40時間のいずれかを越えて労働(休日労働は含まない)25%
時間外労働時間が月60時間まで25%
時間外労働時間が月60時間を越える50%
休日労働法定休日の労働35%
深夜労働22時~翌朝5時までの労働25%
重複する場合「時間外労働時間が60時間まで」と「深夜労働」が重複する場合50%
「時間外労働時間が60時間を越える」と「深夜労働」が重複する場合75%
法定休日に深夜労働した場合60%

その他、記入すべき項目は

支払い方法賃金の締日・支払日などの記入も必要になります

控除されるもの(社会保険料・税金など)も記載して置きましょう

「昇給の時期や有無」・「賞与の時期や有無」・「退職金の有無」などの記載は

必ず記入しなければ行けない訳ではありませんが

記載してあると従業員は、安心できる項目でもあります

出来るだけ記入してあげましょう!

「定年退職の年齢」・「定年退職後の継続雇用制度の有無」

「自己都合で退職する」場合に、何日前に連絡が必要か?などを記載します

また、解雇に該当する事由なども記載して置きましょう

労働条件通知書は、会社(雇用主)などから従業員(雇用者)に通知する物です

その為、「良く見ていなかった」などと言われて仕舞うことのないように

書類の最後に「労働条件の内容に相違が無いことについて同意します」などの文言と共に

サイン・捺印などを貰っておくと、内容を承諾した証になります

もしもの時の、証明にもなりますのでサイン・捺印を貰っておく方が懸命です!

これは、アルバイト・パート・正社員どのような雇用であっても

ただ手渡すだけではなく、労働条件を具体的に説明し、内容を理解して貰う必要があります!

後々の労使間のトラブル防止にも繋がる重要な作業です

労働条件通知書の保管期間は、従業員の退職や死亡してから3年間の保管義務が定められています

労働条件通知書を交付しないと「30万円以下の罰金」がある

労働基準法では、労働条件通知書の交付は義務なので

もし交付をしなかった場合「30万円以下の罰金」と言う罰則が定められています

ただし、労働条件通知書の交付が無くても雇用契約自体は成立します

また、労働条件通知書の内容や口頭で伝えられた労働条件が

実際の労働条件と違う場合、従業員は雇用契約の即時解約が認められています

更に、遠方から入社した従業員が、即時解約後14日以内に帰郷した場合

その旅費を、会社側が負担しなければならないと労働基準法に定められています

事業主は労働条件を、明確に書面等で交付することで

従業員は納得し安心して、仕事をすることが出来るようになるので

信頼関係を築く上でも、重要な書類であることは間違いありません!

色々面倒なことになってしまうかも知れませんので、労働条件通知書は必ず交付しましょう!

人を雇う場合、労働保険の手続きが必要!

労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称を言います!

業種を問わず、アルバイト・パートを含む従業員を1人でも雇う場合

事業主は労働保険の加入手続きを行い、労働保険料を負担しなければなりません!

労災保険

従業員を1人でも雇った場合には、原則として加入する必要があります

アルバイト・パート関係なく、労働者全員が対象になります!

雇用保険

基本的には、多くの場合が雇用保険加入対象になりますが

労働時間や期間が短い人は、雇用保険の加入対象外となり加入できません

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満
  • 雇用期間が1ヶ月未満

上記以外の場合は、加入する必要があります

労働保険の手続き場所

場所提出書類提出期限
労働基準監督署保険関係成立届(初回のみ)雇用の翌日から10日以内
概算保険料申告書(その都度)雇用の翌日から50日以内
公共事業安定所        (ハローワーク)雇用保険適用事業所設置届  (初回のみ)雇用の翌日から10日以内
雇用保険被保険者資格取得届(その都度)雇用日の翌月10日まで

「保険関係成立届」「雇用保険適用事業所設置届」は、初めて人を雇った時にだけ提出する書類です

「概算保険料申告書」「雇用保険被保険者資格取得届」は、新たに雇うたびに提出する書類です

忘れずに書類の提出を行いましょう!

人を雇う場合、税務署への届出も必要!

初めて人を雇う場合、雇用した日から1ヶ月以内に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」

を所轄の税務署(確定申告をしている税務署)に提出する必要があります!

従業員を雇って給与を支払う場合、給与に応じた納税額をあらかじめ差し引いて

源泉徴収を行うように義務づけられているため

事前に雇用主であることを、通知して置く必要があります

国税庁:給与支払事務所等の開設・移転・廃業届出書のダウンロード

個人事業主が、お店の開業と同時に人を雇う場合

お店の開業時に「個人事業の開業・廃業届出書」を提出しますが

これに記載しておけば問題ありません

新たに「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出する必要はありません

人を雇った場合、源泉徴収の準備を忘れずに!

源泉徴収とは、事業主が従業員の給与から納税額を天引きし

従業員に代わって納税することを言います

人を雇ったら、正確な源泉徴収を行うために

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入して貰いましょう

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、毎年記入して貰うもので

その年の最初の給与までに記入して貰い、保管しておく必要があります

どこかに提出する必要はありません!

大切に保管して置きましょう

国税庁:給与所得者扶養控除等(異動)申告書のダウンロード

給与から天引きする源泉徴収税額の計算をする場合

国税庁が発行している「給与所得の源泉徴収税額表」を使用して算出します

国税庁:給与所得の源泉徴収税額表のダウンロード

「給与所得の源泉徴収税額表」は、3種類あり給与の支払い方法によって使い分けます

  • 月払いの場合 「月額表」
  • 日払いや週払いの場合 「日額表」
  • 賞与の場合 「賞与」(ただし「前月の給与が無い」又は「前月の給与の10倍以上の給与」の場合は「月額表」を用いる)

必要な書類を用意して置きましょう!

源泉徴収税の納期

原則として、従業員から徴収した源泉徴収税は翌月10日が納期期限となっています!

毎月納期をするのは変な事です

なので、特例として従業員10人未満であれば年2回(7月10日と翌年1月20日)にまとめて納付にすることが出来ます

特例を受ける場合、税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要があります

必ず、やらなければ行けない事ではありませんが

大幅に手間を省くことが出来るので、提出しておいた方が良いでしょう!

提出時期は定められていませんが、原則として提出日の翌月に支払う給与等から適用されます

国税庁:源泉所得税の納付の特例の承認に関する申請書のダウンロード

従業員の数が増えて10人以上になった場合は

特例が適用されなくなってしまいますので

税務署に「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」の提出が必要になります

その後は、原則にしたがって毎月翌月10日までに納付しなければなりません!

国税庁:源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書のダウンロード

人を雇った場合、社会保険の加入条件を確認しておこう!

社会保険とは、

「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の総称を言います

全ての法人は、国の定めた保険に加入しなければなりません!

みなさんもご存知でしょうが、日本の少子高齢化が進んでおり

今後も拡大して行くと予想されています

社会保障制度の持続的に運営する為に

段階的な法改正(2022年10月および2024年10月)により

社会保険の加入義務の範囲が拡大して行くことになります!

自分のお店が、適用事業所なのか確認しておきましょう!

社会保険の適用事業所

社会保険の適用事業所とは、社会保険の適用を受ける事業所(企業)のことを言います

適用事業所は、事業所単位で適用され「強制適用事業所」「任意適用事業所」の2種類に分けられます

強制適用事業所

強制適用事業所とは、必ず社会保険に加入しなければならない事業所を言います

  • 国・地方公共団体
  • 法人の事業所
  • 常時5人以上いる個人の事業所(農林水産業・サービス業などの非適用事業所を除く)

業種問わず「常時1人でも従業員を使用」していれば強制適用事業所となります

たとえ社長1人だけの会社であったとしても

法人から労働の対価として報酬を貰っている以上、従業員とみなされる為

必ず社会保険に加入しなければなりません!

個人事業主が個人経営している適用業種の事業所

「常時5人以上従業員を使用している」場合は、強制適用事業所となります

適用業種は16業種あり数が多いので、逆に「非適用業種」の方が数が少なく分かり易いでしょう

  • 農林水産業
  • サービス業(飲食店・旅館・理容室・美容室など)
  • 自由業(税理士など専門性を生かした職業)
  • 宗教業(寺院・教会など)

常時5人以上とは、正社員だけに限らずパートや高齢者などで社会保険に加入出来ない人も含めて

全ての方をカウントします(常時使用している場合)

任意適用事業所

任意適用事業所とは、強制適用事業所ではない事業所が

厚生労働大臣の許可を受ければ適用事業所とすることが出来ると言うものです

ただし、必要な条件を満たす必要があります

  • 事業所の従業員(被保険者になれる者)の2分の1以上の同意があること
  • 事業主が許可の申請をすること
  • 厚生労働大臣の許可があること

2分の1以上とは、分母は従業員全員ではなく

従業員の中で、被保険者になれる人の数が分母になります!!

被保険者になれない人(75歳以上の高齢者や短時間労働者など)は、数には入れません!

と言うものです!

従業員の2分の1以上が、「社会保険の加入がしたい」と言う同意があれば

事業主が任意適用事業者になるための許可申請を行うことができます!!

ただし、従業員の同意が有ったとしても「義務ではない」ので

許可申請をするのか?しないのか?は、経営者の判断となります!

と言うのも、社会保険の加入には事業主が保険料を、負担しなければ成らなくなるからです

個人事業主などは、かなり経営を圧迫することは間違いありません!!

よくよく考えた上で判断する必要があります

厚生労働大臣の許可があれば、任意適用事業者となり

「各種届出の提出」や「社会保険料の納付」など、強制適用事業者とやることは変わりません

任意適用事業者の取り消しをする場合

強制適用事業者の場合、事業主や従業員の意思で勝手に適用事業者をやめる事はできません!

任意適用事業者の場合、要件を満たせば取り消しをすることが出来ます

  • 事業所の従業員(被保険者に限る)の4分の3以上の同意があること
  • 事業主が許可の申請をすること
  • 厚生労働大臣の許可があること

後は一緒です!

まとめ

お店を開業すると、やらなければ生けない事も多く

経営者は本当に大変です!

人を雇うと、やることも増えて大変ではありますが

人を雇うことで「仕事の作業効率を上げられ、売上げアップにも繋がる」可能性を秘めているので

人を雇うことも大切な仕事の内です

初めは慣れない事も多いとは思いますが、慣れてしまえば何てことありません!

必要な書類の作成と説明・提出だけなので、そんなに難しいものではありませんのでご安心ください!

問題は、せっかく雇っても直ぐに辞めてしまうことです

を良く考えておくことが重要で、出来るだけ長く働いて貰えるように努力しましょう!!

何度も何度も、書類の作成や説明・提出をするのは「めんどくさい」と思うので

そうならない様に、お互いに取ってメリットのある仕事環境を心がけましょう!

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